スタッフブログ
2014/05/23
椋岡の家構造見学&セミナー(概要)
(家づくりをお考えの皆さんに是非知ってもらいたい木の話)
日本の一戸建て住宅の90%は<木>で造られています。
しかし、その80%は外国産の木です。
つまり、国産材の木で造られる部分は僅か2割しかないのです。
国土の68%が森林でその内建築用の木材(杉、桧など)は62%も有る日本なのになぜ?
第二次大戦後、焼け野原になった国土に建築ラッシュが起きました。
桧や杉は飛ぶように売れ、切った片っ端から針葉樹を植えます。
それだけでは足りず、当時安価だった北米材などを輸入することになったのです。
最初に輸入されたのは、米松(ダグラスファー)と呼ぶ松の仲間で、梁や桁など<横架材>でした。
これは、それまで使われていたのが<地松>で植林されない自然林のため、すぐに枯渇したためです。
ここまでは、山林業者も気にも留めませんでした。
なぜなら、天然林のため元手が掛からず、杉や桧が売れ続けたためです。
しかし、輸入業者はその牙城を狙いました。
杉や桧に代わる材料を探し始めたのです。
それが、現在広く使われているホワイトウッドやヘムロックです。
これらの木は成長が早く、植林後30年で建築用材として使えます。
米松も最初は非常に目が詰まった良材が輸入されましたが、北米の建築ブームと共に良材は入手困難になり、価格も高騰、現在輸入されているものは昔の面影もありません。
でも、面白いことに、現在国を挙げて国産材使用を訴えているのに、米松は<国産材>として認められる木材です!
「いつの間にか米松を日本で栽培してたのか」と思ったらさにあらず、丸太で買った木材を「日本で製材」したら国産材だと認める、法の抜け穴を造ったのです。
先程出てきたホワイトウッドやヘムロック(米栂)は白アリや腐朽菌に極端に弱く、成長が早い分、強度も有りません。
とても、構造材として使える代物ではないのです。
米松も戦後まもなく輸入されたころのそれは、日本の<地松>に勝るとも劣らぬ強度がありましたが、ここ20年その質は極端に落ちています。
にもかかわらず、国土交通省の米松の評価は依然のままです。
<評価>と言うのは、国交省が決めた(調べた?)木材の基準になる強度の目安があり、それぞれ、木材ごとに圧縮、引張強度、曲げ、せん断の4種類の強度値とそれを表す数値として<ヤング係数>(E値)を告知しています。
つまり、設計段階で構造計算をする際にはこの数値で計算され、実際に使われる木材を測ったものではありません。
あなたは、信じられますか?
木材は言わずと知れた<天然素材>です。
自然界に存在するものは2つと同じものはありません。
あなたが2人いないのと同じように。
<木>も一本一本個性が有り、強度も異なるのです。
回りに阻害するものが無く、ゆったりとした空間に十分な肥料や水があれば伸び伸びと早く大きく育ちます。(つまり、年輪は粗くなります)
回りが窮屈で厳しい自然環境に育った<木>はなかなか大きくなりませんが年輪は細かくなります。
当然、年輪の細かい<木>の方がヤング係数は高い数値を出します。
つまり、「同じ杉でもその育つ環境によって強度は異なる」と言うことです。
例えば、国交省の告知によれば、「杉」のヤング係数は<E70>となっています。
米松は<E110>ですから数値だけを見れば、米松が強いことになります。
しかし、それは過去のデータにもとずく平均値であり、直近でも平成12年の集計です。
つまり、15年以上も前のデータと全国から集めた平均値なのです。
実際に使われる<木>は平均値ではありません。
有る場所に育った有る<木>なのです。オンリーワンなのです。
例えば、<東濃桧>はブランドですが、その一本一本は異います。
建物の強度を出す時に、柱の強さがバラバラだったら正しい強度は出ません。
最近は、食料品などの生産者を明記したり、産地やその成分を表示することを義務付けたりしています。
ただ新鮮な野菜、と言うだけでなく、生産者の顔が見えれば尚安心感があります。
確かに口に入れる物は、怖いですから納得にするまで慎重になるのですが、家の骨組みになる<木>はどうでしょうか?
どこの産地か、ぐらいは話題になりますが、どの山の何年育成なのか?本当の強度はどれほどなのか?など一切公にされては来ませんでした。(計測自体がされていません)
まして、生産者など全く判らないのが実情なのです。
家は安全でなくてはなりません。
口に入れる食品と同じくらい、人の安全に大事な要素ではないでしょうか?
生産者が判り、生産者と施主(建て主)が双方で知り合うことで、責任が生じ、安心が生まれるのではないでしょうか?