スタッフブログ
2018/07/31
構造材について
カテゴリー:構造材・床
K‘z-HOMEでは、100年後の人たちに恥じない家づくりをしたいと考え、今ではなく
将来を見越した建築でありたいと願っています。
日本の住宅寿命が短いと言われて久しいですが、その本質は今でもあまり変わっていません。(建て替えサイクル27年~35年)
特に木造住宅には、大きな問題が潜んでいます。
その一つが構造材であり、構造用面材です。
木は生きている
「木は生きている」と言ったら、皆さんはうなずいてくれますか?
「そりゃそうだ、植物だから生物の一種だもの」と答えるでしょうか?
では、「木は伐り出してからも生きている」と言いましたらどうでしょう?
「そんなはずはない、伐れば死んでしまうでしょう」
と答えが返って来そうです。
でも、人間のような動物の「死」は、生命を無くす時点で、確実に訪れ、どんどん朽ち果てていきますが、植物、特に「木」は伐り出された後も、腐ることなく存在します。
もちろん、新芽を出すことはありませんが、「正しく管理する」と、100年経っても1000年経っても、表面を薄く削ると伐採時の木肌が見えて来ます。
そう、「正しく管理する」と、です。
「正しく管理する」とはどういう事でしょう。
日本には1000年を超える木造建築物が数多く存在します。
それらは、先人が「木は生きている」事をよく理解し、正しく管理(利用)してきた事に他なりません。
「木が生きている」とすると、木が呼吸していることになります。
そうです。
伐り出された木も「呼吸している」のです。
それが、1000年経っても朽ち果てない理由です。
つまり、「木を正しく管理する」と言う事は、「木の呼吸を妨げない」と言う事です。
合板は木ではない
前述のように考えると、呼吸をしない木?は、もはや「木」ではなくなった別物です。
木造の中でも、木材加工と接着剤が発達した現代は、色々な構造材が生まれています。
しかし、私たちがリフォームや建て替えの際の解体に、築年数の浅い建物ほど壊れ易い実態を見て来ました。
特に酷いのが、合板の接着力を失った状態です。
例えば、野地板(屋根の瓦の下に有る板)、殆どの場合、接着力は失われ、バラバラになって落ちてきます。
床のフローリングも然り、です。
築30年を過ぎると、床はフカフカになり、今にも抜けそうな感じになってしまいます。
屋根の野地板の場合は、温度変化で、床は基礎からの湿気が原因で、接着剤が切れてしまうのです。
もちろん、壁の中も壁内結露をすると、外壁に張った構造用合板も湿気で切れてしまいます。
野地板や床板は、耐震性にはあまり大きな影響は有りませんが、壁の構造用合板は違います。その名の通り、構造耐力に大きな影響が有ります。
いくら耐震基準を満たした建物でも、20年~30年で劣化し、耐震性を失ってしまってはたまりません。
しかしながら、現在の木造住宅の殆どが、この構造用合板によって、耐震性能を出しています。
また、構造材も接着剤を使った集成材(別名エンジニアリングウッド)が使われます。
接着剤に頼った強度ですから、万一接着剤が劣化したら、大変です。
接着剤の劣化を早める要素、大きな温度変化と湿気、これは見えない壁の中や床下、
瓦の下で起きるので始末が悪いのです。
国も湿気が問題であるとして、長期優良住宅の認定を取るためには、屋根や壁に通気を通して、湿気の滞留を防ぐように指導しています。
更に危険な場合は、べーパーバリアー(防湿シート)を張るように指導しています。
しかし、この方法では今後向かわなくてはならない、更なる省エネ化(現在のレベルではない高次元の)より高度な低炭素化には対応できません。
環境先進国の例は、
ヨーロッパ、特に北欧やドイツ、スイスなどを見ると、最初は日本のようにべーパー
バリアーを使っていましたが、これでは逆効果(壁内結露が止まらない)であることが解り、むしろ壁内を積極的に透湿することが大切である、としています。
私たちが疑問に思っていた「窒息させるような家づくり」は、間違いだ、と海外の国が証明してくれたのです。
木はとても優れた構造材です。
正しく扱えば、樹齢100年の桧を伐採して、1000年でも使うことが出来ます。
日本には、その証明が出来る建物が存在します。
法隆寺然り、四天王寺、平等院等々、創建数百年を超す建物が数多く現存するのです。
ある研究では、木材の強度は切り出した時より、乾燥が進んだ100年後、200年後の方が増すそうです。
接着剤を使った集成材ではありえない話です。
また、日本に自生する桧(サイプレス)は非常に良質な建材として、世界に知られています。
杉もそのしなやかさと木目の美しさでは、とても優れた木材です。
古代の日本建築は、殆どがこの「杉と桧」によって造られています。
K’z-HOMEのこだわりは、日本の伝統的工法である軸組工法での家づくりの場合は、
日本の杉と桧で造りたいと思う事です。
よく、「桧の家」などの宣伝を見ますが、柱こそ桧を使っていますが、その他の構造材
梁や桁など、柱の上になって、屋根や床を受ける材料の殆どが、輸入材である米松か、
集成材になっているようです。
また、単に「桧」と言っても産地や樹齢、木そのものの育ち、素性によって、強度はバラバラと言っても過言ではありません。
「木」は生き物です。
つまり、一本一本違って当たり前です。
しかし、家を構成する柱の強度が、それぞれバラバラだったらどうでしょう!
大きな地震の際に、支える力のバランスが悪くなって、あえなく傾いてしまいます。
「そんなことないでしょう、桧なら一緒じゃないですか」と言う声が聞こえそうです。
が、しかし実際に木の強さを測定すると、最高2倍以上の差が有ります。
建物を4本の柱で支えている、と考えてみてください。
隣同士の柱に2倍以上の力の差が有ったらどうでしょうか?
その差を測定する必要が有る、と考えて柱一本一本、全てを測定して加工している会社が、和歌山県に有ります。
山長商店と呼ぶその会社の創業は、江戸時代中期、250年以上の社歴を持っています。
名前は「商店」ですが、実は大変な大地主、何と東京山手線の内側よりも広い山林を
所有し、自ら植林(植え付け)して育林(育て)間伐や枝払い(手入れ)し、伐採から
自社所有の製材所に運び、丸太から角材に加工、人工乾燥(強度と反り、カビ等を抑制)
し、それを加工(プレカット)する前に全て機械によるヤング係数測定(強度)と
含水率測定(水分が含まれている量)をします。<写真①②>挿入
ヤング係数(強度)と同様に含水率が重要なのは、木の中に水分が多く残っていると
乾燥する過程で、縮んだり、曲がったりして、狂いの原因になり、家を歪ませる可能性があるのです。
また、構造用面材で耐震性を出す為には、固定する釘やビスの保持力(留める力)が大切です。
一般的な桧の保持力は、2寸釘で140kg、杉は70kgとされていますが、山長商店の杉と桧では、杉でさえ140kg前後、桧は160kg超えで安定しています。
含水率20%以下の状態ですが、乾燥が進めばさらに強度が増すと考えられます。
山長商店はその試験を、20年以上前から行っているようですが、当時も今もそのような検査を行っている製材会社は、見た事が有りません。
弊社は、15年前に業界の新聞記事を読み、社長に直談判で東海地区初めての直販として、お付き合いしています。(出荷の80%は関東地方、東京方面とか)
また、構造用面材は、合板の代わりに、三菱マテリアルが製造している「モイス」を
採用しています。
「モイス」は、その原料に鉄鉱石から出来る廃材である鉄鋼スラグをもう一度熱で溶かし、細い繊維状に加工して、圧縮し、板状にしたもので、原材料は「バーミュクライト」
です。
バーミュクライトの特徴は、元が鉱石ですから燃えません。(不燃材)
また、繊維の板ですから、透湿抵抗がほぼ0。
耐震性能は合板よりも高い。(合板壁倍率:2.5倍、モイス:2.7倍、大壁工法の場合)
濡れても腐らないので、白蟻や腐朽菌に侵される心配もありません。
ホルムアルデヒドを吸収、分解する能力さえ有ります。
良い事ずくめですが、一つだけ欠点が有ります。
粘りが合板と比べてやや劣る事です。(数値ではありません、実際の使用感)
例えば、固定するには釘が必要ですが、合板の場合は、余程強く打ち込まなければ頭が
埋め込んでしまうことが有りませんが、「モイス」は強く叩くと、直ぐに凹みます。
それは、耐力面材としての十分な強度を発揮できない事を意味しますので、施工者側に
正しい知識が備わった、技術を持ち合わせた施工を要求されます。
付加耐震補強のSRF工法もお勧めします。(SRF工法で、お調べください)
「モイス」は、軸組工法、ツーバイシックス工法どちらも共通の仕様です。