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2019/03/22
「全館空調にすると、光熱費が下がる」って本当!?【その2】
カテゴリー:全館空調
さて、もう一度「全館空調」に話を戻します。
食洗機同様、「全館空調システム」も北米を中心に30年前からほぼ100%普及しています。
こちらは、エアコンの必要が無いヨーロッパ(寒冷地が多く、夏はすごしやすい)
では、暖房機器が主役で冷房は考えられませんでした。
夏の暑さが厳しい日本では、暖房はもちろんですが、冷房が出来なければ「全館空調」とは呼べないでしょう。
北米(特に内陸部)は、砂漠地帯が多く、日中の寒暖差が激しく、雨が少ない為湿度が無く太陽光を遮るものが無いので、日中は40度を超え、夜は放射冷却現象で、零度近くまで冷え込みます。
一日の温度差が実に40度という過酷な自然の中にも人々は住み、快適に暮らしています。
室温は常に25℃に保たれますから、昼は冷房、夜は暖房に切り替わって空調する事になるのです。
四季が殆ど無く、年間通してこのような気候ですから、冷暖房が動きっぱなしになります。
では一体光熱費はどれくらい掛かるのか?
いくら電気代が安いアメリカでも、これは相当掛かるのでは?
と、思いますよね。
27年前に私が訪ねた、ロサンゼルスの東南約300キロ、パームスプリングスは正にそのような環境のリゾート地でした。
コロラド川から引き込んだ大きな湖を中心に、200以上のゴルフコースが有り、
そのすべてに住宅が隣接しています。
つまり、ゴルフコース付き分譲住宅を販売しているのです。
高齢者がリタイアして、年金生活で余生を楽しむ人気スポットとなっています。
家の大きさは3LDK~4LDK(50~60坪程度)ですから、日本の少し大き目な家と同じでしょうか。
肝心なのは、「リタイアした人たちの家」であることです。
つまり、光熱費を湯水のごとくは使えない筈です。
私が「光熱費はどれくらい掛かるのか?」と問いかけると、「気にしたことが無いが、月に100ドル程度かな?」という返事。
当時の電気料金は、日本の半分程度だったと思うので、日本で言うと2万円位か。
もし、日本でこのような過酷な環境に家を建て、25℃に保とうとしたら、おそらく光熱費は月10万円くらい掛かりそうです。
なぜ、こんなに安く済むのか?
その答えは、家の性能と空調機の原理に有りました。
まず、何よりも必要なのは、家の断熱性能と気密性能です。
27年前で、窓は樹脂サッシのアルゴンガス入りペアガラス(勿論LOw-E)
地区ごとに仕様が決められ、この場所は4スター以上となっていました。
1から5までランク分けされて、カリフォルニア州は3スター以上でした。
壁厚にぎっしりと高性能断熱材が充填され、外壁は20㎜を超えるモルタルが塗られていました。(当時は断熱性能を気にしなかったので、数値は解りません)
そして、気密性ですが、測定した訳ではありませんが、おそらくC値は1以下だったのではないでしょうか。
当たり前ですが、外気を室内に入れない事で、冷暖房効果は高まります。
そして、此処が肝心ですが、「断熱性能が高い家は、一旦設定温度になると、冷暖房エネルギーを消費しにくい」のです。
どういうことか?というと。
隙間風が無く断熱性能が高いと、外からの熱の影響が少ないので、部屋の温度が建物の内壁の温度と同じになり、床、天井も室温と同じになります。
空気と違い、床材や壁材などは、大きな質量を持っているので、一旦25℃にな
エアコンが最も電気代が掛かるのは、つけ始めですが、建物が高温になっているったら、簡単には下がらない(上がらない)のです。
空気をいくら冷やしてもなかなか涼しくならないのはその為で、エアコンを切ると直ぐに部屋が暑くなるのも、壁や床、天井が熱いからです。
暖房も同じことが言えます。
いくら暖めても、断熱性能が低い家は、直ぐに寒くなる、至極当たり前の現象なのです。
空調の設定温度を一定に保つことで、建物の内側がその温度になった時点で、サーモスタットが働き、エアコンのコンプレッサーが停止する事を意味し、
それ以後は、間欠的に空調機が動くので、冷暖房費が掛からないのです。
建物の温度が室温と等しくなると、冬の設定温度は、21℃前後もあれば、殆どの人が快適に暮らせ、夏の設定温度も27℃前後で快適に暮らせます。
隙間風(C値)と熱還流値(UA値)を下げることで、光熱費が劇的に下がるのはこのためです。
結論として、条件を満たす事で、「全館空調は光熱費を下げる」のです。
つづく